歯科用CTの画像解像能力について

歯科用CTは非常に有用です。口腔外科診療では欠かすことのできな検査器具になります。今回は患者様の希望によりたまたまう蝕の診断にCTを用いる事がありました。CT検査がう蝕検査においてもかなり有用であることが確認できました事を写真を入れながらお話させて頂きます。

う蝕の診断には通常デンタルエックス線写真を使います。大抵のう蝕はデンタルエックス線で診断することが可能です。しかし歯科用CTで撮影しますとデンタルエックス線よりはっきりとう蝕が写ります。

患者様は他の歯科医院で右上7(第2大臼歯)にう蝕の疑いを指摘され、デンタルエックス線でう蝕と診断された事に対して疑問を感じて、セカンドオピニオン目的にて当院の歯科用CTで検査して貰いたいとのご希望で来院されました。う蝕について保険診療では歯科用CTで検査・診断するは認められていません。そこで患者様には自費診療になりますことをご説明させて頂きエックス線検査を実施しました。

①パントモエックス線写真です。
右上7(第2大臼歯・右上の最後の歯)をみて下さい。うっすらと透過像(赤線で囲んだ所です)がありますが、確かにう蝕があるかはっきりしません。

②デンタルエックス線での拡大像です
そこでデンタルエックス線で拡大像を撮影しました。右上7近心にすこし黒い透過像(黄色線で囲んだ所)を認めますが、患者様は「これでははっきりとう蝕かどうか分からない・違いが分からない」との事でした。

③ CTの撮影に移行いたします。
冠状断:歯のエナメル質が欠損(周囲の白い線が一部黒くなって途切れている:赤字で囲んだ所)している事、またエナメル室から象牙質にむかってう蝕が進行していることが明確に分かります。

④ CT画像 前顎断 

歯冠の中にある黒い像(赤線で囲んだ所)がう蝕です。

⑤ CT 矢状断

歯冠の中にある黒い像(黄色線)がう蝕です。患者様に自分の歯がう蝕になっている事を理解して頂けました。

CT検査の結果 患者様が納得してう蝕の早期治療に繋げる事ができました。(「歯に優しくかつ長持ちする物」との患者様のご希望もあり、18Kのゴールドで修復治療を実施いたしました)