歯の移植 「左上智歯を左上7に移植」 

左上7(左上のブリッジが架かっている奥歯)の疼痛を主訴・腫脹で来院された患者様です。

左上7の歯根周囲には炎症が疑われる透過像、そして透過像と連続する歯牙様の不透過像を認めました。

患者様は数年前に左上6の抜歯治療を受けたとの事でした。その残根が残っている疑いがもたれました。

CTでは左上7根尖部に大きな透過像を認めます。透過像内に歯牙の残根を疑わせる米粒のような不透過像を確認いたしました。

CTの冠状断でも歯牙様の不透過像を確認できました。

患者様に左上7は歯根嚢胞が大きく保存が厳しく抜歯が適切であり、左上7抜歯後嚢胞を摘出と同時に残根様異物の摘出が必要であると説明いたしました。抜歯後については義歯かインプラントが一般的です。

しかし左上8(智歯)が残っているので、左上7抜歯窩に左上8を移植することも可能性として検討できますと説明したところ、患者様が左上智歯の移植を強く希望されましたので、左上7の抜歯後左上8を移植することといたしました。

左上7の抜歯窩に左上8を移植しました。移植後は一時的にタイオーバーにて固定いたしました。

1週間後 タイオーバーの糸を抜糸した後、ワイアーとスーパーボンドを用いて左上5を固定源に移植した歯の固定を強固にいたしました。

2週間後 移植した左上8の根管を洗浄後、根管充填を実施いたしました。

移植から3ヶ月後ワイアーを除去しました。移植した歯の動揺はありません。

固定解除後のデンタルエックス線写真です。

移植歯のためブリッジで前方の歯と連結をしないで、クラウン単独で補綴しております。(下のパントモエックス線参照)

術後2年が経過しておりますが移植した智歯は問題なく使用できております。

当院では、インプラントも実施しておりますが、移植できる智歯を保有していて、抜歯する歯牙との移植条件が合う場合は移植にて対応する事も視野にいれて治療計画をご相談させて頂いております。歯牙移植にご興味がある方はご相談にお越し下さい。